【医師監修】大腸がん検診の検便、前日にしてはいけないこととは?正確な結果のための注意点
『明日、大腸がん検診の検便だけど、何か注意することはある?』
『前日に食べてはいけない物ってある?』
『薬や運動って影響あるの?』
大腸がん検診で行われる『便潜血検査(検便)』は、手軽に受けられる反面、
検査精度を左右する「前日の過ごし方」がとても重要です。
この記事では、検便前日に避けるべき食事や行動、よくある誤解について、
医師の視点からわかりやすくお伝えします。
1. 便潜血検査とは?簡単だけど“精度に影響する”検査です
便潜血検査は、便に混ざった微量の血液を検出することで、大腸がんやポリープの早期発見につなげるスクリーニング検査です。
2日分の便を採取する「2日法」が一般的で、出血していない病変は見逃されることがある一方、出血していれば高確率で異常がわかるという特性があります。
そのため、誤って出血が起こるような行動を前日にしてしまうと、「偽陽性」になるリスクがあります。
2. 前日に避けるべき食事とは?
検査の精度に影響を与える可能性がある食品とはなんでしょうか。
【食事制限はなし】
以前は、赤身の肉(牛肉、レバー、ハムなど)、青魚(サバ・イワシなど)、鉄分サプリメントにより結果が影響を受けていましたが、現在主流のヒトヘモグロビン特異的な検査では影響しなくなっており、食事制限はありません。
3. 薬の服用についての注意
【要注意の薬】
- NSAIDs(ロキソニンなどの痛み止め)
→ 腸粘膜を刺激し、便に血が混じることがある - 便秘薬や下剤の過剰使用
→ 腸を刺激し出血を起こすことも
常用薬がある方は、勝手に中止せずに医師や薬剤師に相談してください。
必要に応じて、検査日程を調整することも可能です。
4. 激しい運動や飲酒も避けましょう
前日の激しい運動や、アルコールの摂取も腸に刺激を与えて粘膜からの出血を引き起こす可能性があります。
【控えるべきこと】
- 腹筋・マラソン・筋トレなどの強い運動
- 飲酒(特に大量の飲酒)
- 熱いお風呂での長湯などの過剰な血行促進行為
軽いウォーキング程度であれば問題ありませんが、身体を極端に動かしたり負担をかけないよう心がけましょう。
5. よくある誤解と正しい対応
『生理中でも大丈夫?』
→ 避けた方が望ましいです。便に経血が混ざる可能性があるため、検体採取をずらすことをおすすめします。
『トイレの水がついたら?』
→ 水に濡れた便は検査に使用できません。その日の採取は控え、別の日に採り直しましょう。
『便が少なかったら?』
→ キットの採取部分にうっすらとでも便がついていれば大丈夫です。無理に追加で採取する必要はありません。
6. 検便で陽性だったら、大腸カメラで確実な診断を
便潜血検査で陽性が出た場合、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による精密検査が必要です。
実際に陽性の方の中には、
- ポリープが見つかるケース
- 初期の大腸がんが判明するケース
- 逆に異常なしで安心できるケース
があります。
大腸カメラでしかわからないことがあるため、検便で異常が出た際は必ず受診をしましょう。

まとめ:検便の前日は「出血を避ける行動」を心がけましょう
- 食事制限はありません
- 過度な運動や飲酒、薬の影響にも注意
- 検便で陽性が出たら、次は大腸カメラでの精密検査が必要です
手軽な検査だからこそ、正しい方法で正確な結果を得ることが大切です。
当院では、便潜血陽性後の大腸カメラも、痛みの少ない・眠ったままで終わる鎮静下検査を提供しています。
ご不安な方もお気軽にご相談ください。
最新の内視鏡機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。
当院には、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。
【作成・監修】
金町よしだクリニック
院長 吉田 翼
(日本消化器内視鏡学会 専門医、日本消化器病学会 専門医、日本肝臓学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医)