【医師監修】大腸カメラでポリープを切除すると長生きできる理由とは?
『大腸カメラでポリープが見つかったら、切除した方がいいの?』
『良性なら様子見で大丈夫なのでは?』
そう思っている方も少なくありません。
しかし実は、大腸ポリープの切除は「がんになる前に命を守る」ための、非常に重要な一手です。
この記事では、なぜポリープを取ると長生きにつながるのか、その科学的根拠と検査の意義を専門医が解説します。
1. 大腸がんの多くはポリープから始まる
大腸がんの9割以上は、「腺腫性ポリープ」という良性のポリープが時間をかけてがん化して発生します。
このため、大腸がんは**「予防できるがん」**とも言われています。
がん化のプロセスには数年〜10年近くかかることが多く、
ポリープのうちに切除しておけば、将来のがんを未然に防ぐことができるのです。
2. ポリープを切除すると「がんによる死亡」が確実に減る
米国の有名な研究(New England Journal of Medicine)では、
大腸カメラでポリープを切除した人は、その後の大腸がん死亡率が53%も減少したと報告されています。
さらに、厚生労働省の統計でも、検診受診率が高い地域ほど大腸がんの死亡率が低いという明確な相関が確認されています。
つまり、定期的な内視鏡検査とポリープ切除は、科学的にも「長生きに直結する」行動なのです。
3. ポリープはその場で取れる。しかも痛みは最小限
当院の内視鏡検査では、ポリープが見つかった場合、
その場で切除できる「日帰りポリープ切除」に対応しています。
- 鎮静剤で眠ったような状態で行うため、痛みや恐怖感が少ない
- CO₂送気を使用するため、お腹の張りも検査後すぐに改善
- バイタルモニターで安全に管理された環境下で施行
特に当院では、無送気軸保持短縮法と送水法を組み合わせたハイブリッド挿入法により、挿入時の苦痛を最小限に抑えています。
4. ポリープの大きさや数で検査頻度も変わる
ポリープが複数あったり、大きさが1cmを超えるものが見つかった場合、
1年後に再検査をすることが推奨されます。
逆に、小さなポリープ1個であれば、3~5年おきの検査で十分な場合もあります。
しかし「数年おき」のつもりが、気づけば5~10年経っていた…というケースも少なくありません。
その間にがん化が進行してしまう可能性があるため、医師と相談しながら、定期検査の計画を立てることが重要です。

5. 「クリーン・コロン」という考え方
近年、欧米では**「クリーン・コロン(Clean Colon)」=ポリープのない腸**を保つことが
がん予防と長寿につながるという認識が広まっています。
一度検査をして、ポリープを取り除いた状態にしておくことが、
将来の安心や健康寿命延伸につながるという考え方です。
6. 「症状がないから大丈夫」は危険
大腸ポリープや初期の大腸がんは、ほとんどが無症状です。
便潜血検査も万能ではなく、陰性でもポリープがあることは珍しくありません。
- 便通異常がある方
- 40歳以上の方
- 家族に大腸がん経験者がいる方
- 健診で便潜血陽性だった方
これらに当てはまる方は、症状がなくても、早めの大腸カメラ検査をおすすめします。
ご案内
最新の内視鏡機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。
当院には、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。
【作成・監修】
金町よしだクリニック
院長 吉田 翼
(日本消化器内視鏡学会 専門医、日本消化器病学会 専門医、日本肝臓学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医)
