糖尿病

糖尿病
糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態で、インスリンの分泌が不足したり、インスリンの作用が下がってしまうことによるものです。
インスリンを出すことのできる臓器は、人間の体には一つしかありません。それが膵臓です。
膵臓が頑張りすぎてインスリンを出すことができなくなったり、肝臓に脂肪がたまって脂肪肝となりインスリンの効果が低くなってしまったりします。
長期間放置すると、合併症(腎障害、網膜症、神経障害など)が発生します。
生活習慣病の1つです。
原因は?
遺伝、肥満、運動不足、高カロリー食、ストレス、免疫の異常が挙げられます。
症状は?
初期は無症状であることが多いです。
病状の進行に伴って、多尿、口渇、体重減少、疲労感、視力低下などがでてきます。
もっと進行してしまうと、失明、腎不全による人工透析、神経障害により足が壊死、などが起きてしまいます。
検査方法は?
検査方法には、血糖値測定(空腹時血糖、随時血糖)、HbA1c(へもぐろびんえーわんしー)検査、糖負荷試験(糖を摂取してもらい血糖値の変動を見る)があります。
HbA1c(へもぐろびんえーわんしー)検査では、血液検査をした時点の血糖の状態のみではなく、血液検査以前の2ヶ月間程度の血糖の総合点を見る事ができます。
これにより、血糖値を総合的に判断できるのです。
注意点は?
糖尿病の怖さは、徐々に世間に知られていっています。
とにかく合併症の予防が重要で、その為にも「信頼でき、一緒に頑張っていける医師を見つける事」が何より大切です。
一回だけ血糖値を下げることはそう難しくはありませんが、糖尿病とご本人の付き合いはそれこそ何十年もの期間になります。
時には、血糖値が悪くなってしまっても、「山があれば谷があるのが人生であり人間」です。
「また頑張ろう」そう思えれば十分なのです。
治療法は?
まずは食事療法(カロリー制限、バランスの取れた食事)、運動療法により治療を開始します。
改善しない場合には薬物療法(内服薬)により、HbA1c(へもぐろびんえーわんしー)を下げるようにします。
それでも下がらない場合には、教育入院(糖尿病との付き合い方を教えてもらうための入院)やインスリン注射が必要になることもあります。

生活習慣病に対する誤解について
生活習慣病について一部の方の誤解が多いです。
以下のような誤解があります。
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Q,知り合いに生活習慣病は一度薬をはじめるとやめられないから、飲むなと言われましたけど?
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A,生活習慣病で薬を始める場合には「既に体の機能が下がってしまっている状態」です。
年齢があがっていくにつれて、個人個人によって機能の下がり方は異なります。
例えば、腰が悪い人もいれば、目が悪くなる人もいます。
「生活習慣病のうち、出て来てしまった病気は、あなたの弱点」なのです。
薬によって、あなたの弱点が改善します。
しかし、薬をやめてしまえば元通りです。
そのため、風邪薬のように「良くなったからやめよう」ということは難しいのです。
稀に薬を飲みながら「食事療法や運動療法頑張って」薬がやめられる方もいます。
ただし、並大抵の努力ではありません。
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Q,症状がないのに何で薬を飲まないといけないんですか?
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A,生活習慣病は「サイレントキラー」とも言われます。
つまり、「症状がないのに、いつのまにか悪くなって、体を壊していく病気」なのです。
風邪などのつらい症状が出ると、私たちはすぐに病院に行って直してもらおうとします。
「症状があるから、治療にたいするモチベーションが高い状態」です。
しかし、症状がなければどうでしょうか。
「症状がないから、放っておこう」という方が多く出てしまいます。
「症状がない=体に害がない」のではありません。
生活習慣病は症状がないのに悪いからこそ、とてもやっかいな存在だと言えます。
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Q,生活習慣病を治療して何か良いことがありますか?
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A,あります。
それは「健康寿命の増加」です。
日本は、世界でも長寿の国です。
しかし、寝たきりや認知症の状態で最後を迎える方が多く、介護者のなり手も少なく社会問題になっています。
そして、「健康寿命」とは「身の回りのことを一人でできる寿命」のことです。
「介護がいらない寿命」とも言い換えられます。
生活習慣病の治療により、血管を若くたもち、内臓を元気に保つことで、脳梗塞や心筋梗塞を予防し、
「人生の最後まで自分の面倒を自分でみる」ことができるようになるのです。