【医師監修】どれくらいの頻度で受けるべき?内視鏡のベストタイミング

「内視鏡検査はどのくらいの頻度で受ければいいの?」「一度受けたら、次はいつ受けるべき?」このような疑問をお持ちの方は非常に多いのが現状です。

内視鏡検査の適切な受診頻度は、年齢、家族歴、既往歴、前回の検査結果など様々な要因によって決まります。早期発見・早期治療のためには適切なタイミングでの検査が重要ですが、過度な検査は身体的・経済的負担となってしまいます。

消化器内視鏡専門医として多くの患者様の検査スケジュール管理を行ってきた経験から、内視鏡検査の最適な受診頻度とタイミングについて詳しく解説いたします。

1. 年代別推奨スケジュール:いつから始めるべきか

内視鏡検査の開始時期と頻度は、年齢によって大きく異なります。各年代における推奨スケジュールをご紹介します。

1-1. 胃内視鏡検査(胃カメラ)の年代別推奨頻度

30代の方

症状がない場合でも、ピロリ菌感染の有無を確認するため、一度は検査を受けることをお勧めします。ピロリ菌陰性であれば3-5年間隔、陽性で除菌治療を行った場合は1-2年間隔での経過観察が必要です。

40代の方

胃がんのリスクが徐々に上昇する年代です。症状がなくても2-3年に1回の定期検査をお勧めします。家族歴がある場合や、胃の不調を感じる場合はより頻繁な検査が必要です。

50代以上の方

胃がんの発症リスクが最も高くなる年代です。1-2年に1回の定期検査を強く推奨します。特に男性、喫煙歴のある方、塩分の多い食事を好む方は年1回の検査が理想的です。

1-2. 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の年代別推奨頻度

40代の方

大腸がんの発症が増え始める年代です。症状がなくても一度は検査を受け、異常がなければ3-4年間隔での検査をお勧めします。
ポリープが見つかった場合は、その大きさや数により1-3年間隔での経過観察が必要になります。

50代以上の方

大腸がんのハイリスク年代です。2-3年に1回の定期検査を強く推奨します。
ポリープが見つかった場合は、その大きさや数により1-2年間隔での経過観察が必要になります。

年代胃カメラ大腸カメラ
30代初回検査推奨、以後3-5年症状があれば検査
40代2-3年に1回初回検査推奨、以後3-4年
50代以上1-2年に1回2-3年に1回

2. リスク要因による検査頻度の調整

個人のリスク要因により、標準的な検査間隔よりも頻繁な検査が必要になる場合があります。

2-1. 家族歴によるリスク評価

胃がんの家族歴がある場合

両親や兄弟姉妹に胃がんの既往がある場合、通常より10歳早い年齢から検査を開始し、1-2年間隔での定期検査をお勧めします。特に母親が胃がんの場合、リスクがより高くなることが知られています。

大腸がんの家族歴がある場合

家族に大腸がんの既往がある場合、40歳または家族の発症年齢より10歳若い年齢のいずれか早い時期から検査を開始し、3年間隔での検査をお勧めします。

2-2. 既往歴・合併症による調整

ピロリ菌感染歴

ピロリ菌の除菌治療を受けた方は、除菌後も胃がんのリスクが残るため、1年間隔での胃カメラ検査が必要です。除菌の成功確認も含めて、継続的な経過観察が重要です。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病の方は、大腸がんのリスクが高いため、1-2年間隔での大腸カメラ検査が推奨されます。

糖尿病・肥満

糖尿病や肥満の方は大腸がんのリスクが高いため、通常より頻繁な検査をお勧めします。

専門医からのアドバイス

リスク要因がある方は、個別に検査スケジュールを調整する必要があります。当院では患者様一人ひとりのリスクを評価し、最適な検査間隔をご提案しています。

3. 症状別の緊急度:いつ急いで検査すべきか

以下の症状がある場合は、定期検査のスケジュールに関わらず、速やかに内視鏡検査を受ける必要があります。

3-1. 胃カメラが緊急に必要な症状

上腹部痛・胃痛

持続する上腹部痛、特に食事と関連した痛みや夜間痛がある場合は、胃潰瘍や胃がんの可能性があります。市販薬で改善しない場合は早急な検査が必要です。

吐血・黒色便

吐血や黒いタール様の便は上部消化管出血の兆候です。緊急性が高く、即座に医療機関を受診し、内視鏡検査を受ける必要があります。

嚥下困難・体重減少

食べ物が飲み込みにくい、原因不明の体重減少がある場合は、食道がんや胃がんの可能性があります。症状が続く場合は1-2週間以内の検査をお勧めします。

3-2. 大腸カメラが緊急に必要な症状

血便・下血

明らかな血便や大量の下血は緊急性が高い症状です。痔と自己判断せず、速やかに専門医による検査を受けることが重要です。

便潜血陽性

健康診断で便潜血陽性と指摘された場合は、3ヶ月以内に大腸カメラ検査を受けることが強く推奨されます。再検査ではなく、直接大腸カメラ検査を受けるべきです。

排便習慣の変化

便秘と下痢を繰り返す、便が細くなった、残便感が続くなどの症状は大腸がんの初期症状の可能性があります。2週間以上続く場合は検査が必要です。

緊急受診が必要な症状
  • 吐血・大量の下血
  • 激しい腹痛
  • 嚥下困難
  • 急激な体重減少(1ヶ月で5kg以上)
  • 持続する発熱と腹痛

4. 前回の検査結果による次回検査時期の決定

前回の内視鏡検査の結果により、次回の検査時期が大きく変わります。

4-1. 胃カメラ検査結果別フォローアップ

異常なしの場合

ピロリ菌陰性で異常所見がない場合は、3-5年間隔での検査で十分です。ただし、症状が出現した場合は間隔に関わらず検査が必要です。

慢性胃炎・萎縮性胃炎

慢性胃炎や萎縮性胃炎がある場合は、胃がんのリスクが高いため1-2年間隔での定期検査が推奨されます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

潰瘍の治癒確認のため、治療開始から2-3ヶ月後に再検査が必要です。治癒確認後は1年間隔での経過観察を行います。

4-2. 大腸カメラ検査結果別フォローアップ

異常なしの場合

ポリープや異常所見がない場合は、3-4年間隔での検査で十分です。ただし、家族歴がある場合は1-3年間隔をお勧めします。

小さなポリープ(5mm未満)

小さなポリープが1-2個見つかった場合は、1年後の再検査をお勧めします。ポリープの性質により間隔を調整することもあります。

大きなポリープ・多発ポリープ

5mm以上のポリープや多発ポリープがある場合は、半年~1年間隔での経過観察が必要です。切除したポリープの病理結果により、さらに頻繁な検査が必要になることもあります。

5. 無症状でも定期検査が重要な理由

「症状がないから大丈夫」と考える方も多いですが、消化器がんの多くは初期段階では無症状です。

5-1. 早期がんの特徴

胃がんの早期発見

早期胃がんの90%以上は無症状です。定期的な胃カメラ検査により発見された早期胃がんは、内視鏡治療で完治が期待できます。症状が出てからでは進行がんになっている可能性が高くなります。

大腸がんの早期発見

大腸がんも初期段階では症状がほとんどありません。定期的な大腸カメラ検査により、がんになる前のポリープの段階で発見・切除することで、大腸がんの予防が可能です。

5-2. 検査による予防効果

ポリープ切除による予防

大腸ポリープの多くは良性ですが、時間とともにがん化する可能性があります。定期的な検査でポリープを早期に発見・切除することで、大腸がんの発症を80%以上予防できることが証明されています。

ピロリ菌除菌による予防

胃カメラ検査でピロリ菌感染が判明した場合、除菌治療により胃がんのリスクを大幅に減少させることができます。除菌は若い年齢ほど効果が高いため、早期の検査・治療が重要です。

6. 検査を受けやすくする工夫:無痛検査の重要性

定期的な検査を継続するためには、検査に対する不安や苦痛を軽減することが重要です。

6-1. 鎮静剤使用による無痛検査

胃カメラの鎮静剤使用

鎮静剤を使用することで、嘔吐反射や不快感を大幅に軽減できます。患者様は眠ったような状態で検査を受けることができ、検査に対する恐怖心が軽減されます。

大腸カメラの鎮静剤使用

大腸カメラでも鎮静剤の使用により、腹痛や不快感をほとんど感じることなく検査を受けることができます。これにより、より精密で確実な検査が可能になります。

6-2. 最新機器による検査精度の向上

高解像度内視鏡

最新の内視鏡機器では、従来では発見困難だった微細な病変も明瞭に観察できます。これにより、より早期の段階でがんやポリープを発見することが可能になっています。

特殊光観察

NBI(狭帯域光観察)などの特殊光技術により、通常光では見えない血管パターンや表面構造を詳細に観察できます。これにより、病変の質的診断精度が大幅に向上しています。

当院の無痛検査の特徴

当院では、患者様の不安を軽減し、定期検査を継続していただけるよう、鎮静剤を使用した無痛検査を標準として行っています。検査後は専用のリカバリールームで十分に休息していただけます。

7. 検査スケジュール管理のポイント

適切な検査間隔を維持するためには、計画的なスケジュール管理が重要です。

7-1. 個人記録の管理

検査履歴の記録

検査日、検査結果、次回検査予定日を記録し、定期的に確認することが重要です。スマートフォンのカレンダー機能やリマインダーを活用することをお勧めします。

症状の記録

日常的な症状や体調の変化を記録しておくことで、検査時期の調整や医師への相談に役立ちます。

7-2. 医療機関との連携

定期受診の予約

検査終了時に次回の検査予定を決め、事前に予約を取ることで、適切な間隔での検査を確実に行うことができます。

かかりつけ医との情報共有

内視鏡検査の結果をかかりつけ医と共有し、総合的な健康管理の一環として検査スケジュールを管理することが重要です。

8. 年代・リスク別推奨検査プラン

個々の患者様に最適な検査プランをご提案するため、年代とリスク要因を組み合わせた推奨スケジュールをまとめました。

8-1. 低リスク群の検査プラン

30-40代・家族歴なし・無症状

胃カメラ:初回検査後、異常なしであれば3-4年間隔

大腸カメラ:40歳で初回検査、異常なしであれば3-4年間隔

8-2. 中リスク群の検査プラン

50代以上・軽度の家族歴あり

胃カメラ:1-2年間隔での定期検査

大腸カメラ:2-3年間隔での定期検査

8-3. 高リスク群の検査プラン

家族歴あり・既往歴あり・症状あり

胃カメラ:年1回の定期検査

大腸カメラ:1-2年間隔での定期検査

金町よしだクリニックでの検査スケジュール管理

当院では、患者様一人ひとりのリスク要因を詳細に評価し、最適な検査スケジュールをご提案しています。

個別化された検査プラン
  • 年齢・家族歴・既往歴の詳細評価
  • リスクに応じた検査間隔の設定
  • 次回検査日の事前予約システム
  • 検査結果に基づく適切なフォローアップ
安心の検査環境
  • 鎮静剤使用による無痛検査
  • 最新内視鏡機器による高精度診断
  • 日帰り検査対応
  • JR金町駅から徒歩7分の好アクセス
当院の検査管理システム

検査終了時に次回検査の推奨時期をお伝えし、ご希望に応じて事前予約も承っています。また、検査結果は詳細な報告書としてお渡しし、情報共有もサポートいたします。

最新の内視鏡機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。当院には、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。

【作成・監修】

金町よしだクリニック 院長 吉田 翼(日本消化器内視鏡学会 専門医、日本消化器病学会 専門医、日本肝臓学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医)