【医師監修】大腸カメラで便が残っていたらどうなる?検査ができるかどうかと対処法を解説

『大腸カメラの準備をしたけど、まだ少し便が出ているかも…』
『便が残っていたら検査って中止になる?』
『下剤を全部飲んだけど、下痢っぽくならなかった…』

このように、大腸カメラ検査の直前に「腸の中がきれいになっているか不安」と感じる方は少なくありません。

大腸カメラの精度は、腸の中がどれだけしっかりと洗浄されているか(前処置)が非常に重要です。
本記事では、便が残っていた場合の対応やリスク、そして安心して検査を受けるためのポイントについて、専門医が丁寧に解説します。


1. 大腸カメラでは腸の中が完全に見えることが大前提

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、腸の中の粘膜をカメラで直接観察し、

  • ポリープの有無
  • 粘膜の炎症
  • 大腸がんの早期発見

などを目的に行う精密検査です。

しかし、腸の中に便が残っていると、粘膜が見えなくなり、正しい診断ができなくなる可能性があります。

特に便の残り方によって、次のような影響が出ます。

1-1 少量の便:洗浄や吸引で対応できるケースも

便がごく少量であれば、内視鏡の吸引や送水で洗浄・除去しながら観察できることもあります。
この場合、検査は予定通り進行することが多いですが、視認性が悪くなるため、時間がかかったり精度がやや落ちる可能性があります。

1-2 便が多い・残渣が多い:検査中止・延期の可能性も

腸の中全体が便で覆われている、液体便でも混濁が強い場合は、

  • ポリープや早期がんの見逃し
  • 粘膜損傷や穿孔などのリスク増加

などがあるため、安全のため検査を中止・延期とすることがあります。


2. 検査直前に便が残っているか確認されるの?

はい、当院をはじめ多くの医療機関では、検査前に排便状況の確認を行っています。

  • 下剤の服用後、排便が「透明~薄黄色の水様」になっているかどうか
  • 看護師や医師が問診・状態を確認
  • 必要に応じて、追加の下剤や浣腸などを行い、腸内の状態を整えることも可能です

そのため、「便が残っていたらどうしよう」と不安になる必要はありません。
事前に相談してもらえれば、きちんと対応できます。


3. 便が残らないようにするためにできること

3-1 前日は食事に注意を

前日の食事は、腸に残りにくい「低残渣食(ていざんさしょく)」を意識することが重要です。

【避けるべき食品】

  • 野菜・きのこ・海藻類(繊維が多い)
  • ゴマ・雑穀・果物(種が残る)
  • 脂っこいものや揚げ物

【おすすめ】

  • 白米のおかゆ、うどん、具なしスープなど
  • 白身魚、卵、豆腐などの消化に良いタンパク質

当院では、検査食の使用は基本的に行っておりません。
便秘気味の方は、2〜3日前から食事に気をつけていただくと、腸内がきれいになりやすくなります。

3-2 下剤はきちんと指示通りに飲む

下剤は種類によって飲み方や量が異なります。
当院では、モビプレップ・サルプレップなどを採用しており、
患者さんの体格や便の出方に応じて、最適な量とタイミングをご案内しています。

『味が苦手で飲めない』『吐き気がある』など不安な場合は、事前に相談してください。
無理に飲まず、適切な対処をすることが大切です。


4. 当院では、検査当日の状態にも柔軟に対応しています

金町よしだクリニックでは、腸の状態が不十分でもできる限り検査が可能になるよう、丁寧に対応しています。

  • 看護師による事前のチェックとアドバイス
  • 必要な場合には追加の洗浄処置や延期のご提案
  • 無理に検査を進めて患者さんに負担をかけることはありません

また、痛みの少ない挿入法(軸保持短縮法・送水法)とCO2送気、鎮静剤を組み合わせて、安全で快適な内視鏡検査を実現しています。


まとめ:少しの便なら検査可能なことも。大切なのは「事前相談」

  • 大腸カメラで便が残っていると、検査精度が落ちるリスクがある
  • ごく少量なら洗浄対応で検査可能な場合もある
  • しっかりとした前日準備と、当日の相談・追加対応が鍵
  • 不安があれば、遠慮なくご連絡・ご相談ください

最新の内視鏡機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。
当院には、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。

【作成・監修】
金町よしだクリニック
院長 吉田 翼
(日本消化器内視鏡学会 専門医、日本消化器病学会 専門医、日本肝臓学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医)