【医師監修】胃ポリープはがん化する?経過観察と切除の基準を専門医が解説

『健診で“胃にポリープがあります”と言われたけど、放っておいていいの?』
『がんになることもあるって聞いて不安…』
『経過観察と言われたけど、本当に大丈夫?』

胃カメラ検査でよく見つかる「胃ポリープ」。
多くは良性ですが、中にはがん化する可能性があるタイプも存在します。

この記事では、胃ポリープの種類とがん化のリスク、切除や経過観察の判断基準について、消化器内視鏡専門医がわかりやすく解説します。
早期発見・早期対応が何より重要です。


1. 胃ポリープとは?

胃ポリープとは、胃の粘膜から盛り上がるようにできた隆起性の病変です。
大きさや数、形はさまざまで、健診や胃カメラで偶然見つかることが多く、症状がない場合がほとんどです。

胃ポリープには、いくつかのタイプがあり、それぞれがん化のリスクが異なります。


2. がん化の可能性がある胃ポリープとは?

■ 過形成性ポリープ(かけいせいせいポリープ)

  • 日本人で最も多くみられるポリープ
  • ピロリ菌感染と関係していることが多い
  • 多くは良性でがん化しにくい
  • ただし、大きさが1~2cm以上になるとがん化や出血のリスクが上がるため、切除を検討する場合も

■ 腺腫性ポリープ(せんしゅせいポリープ)

  • がんの前段階(前がん病変)とされるタイプ
  • がん化のリスクがあるため、基本的に切除が推奨される
  • 特に大きさが1cm以上、形が不整なもの、色調が変化しているものは注意が必要

■ 胃底腺ポリープ(いていせんポリープ)

  • 主にピロリ菌に感染していない人に見られる
  • 胃体部に多発することが多く、がん化のリスクは極めて低い
  • 原則として経過観察で問題ない

3. 切除するかどうかの判断基準

胃ポリープが見つかった場合、切除するか経過観察するかの判断には、次のような基準があります。

項目切除が推奨される目安
ポリープの種類腺腫性ポリープ、異型性があるもの
大きさ1cm以上(特に過形成性ポリープ)
形状不整形、表面が凹凸、赤くただれている
出血の有無貧血の原因になる場合は切除
症状の有無痛み・出血・胃の違和感がある場合

切除は内視鏡で安全に行えることがほとんどで、入院を必要とせず日帰りで済むケースが多くなっています。


4. 経過観察が可能な場合もある

良性のポリープでリスクが低い場合には、すぐに切除せず定期的な内視鏡で様子を見る「経過観察」となることもあります。

  • 過形成性ポリープでサイズが小さい
  • 胃底腺ポリープ
  • その他、がん化の可能性が極めて低い病変

とはいえ、一度見つかったポリープは放置せず、定期的に状態を確認することが大切です。
ポリープの変化は自覚症状がないまま進むため、「症状がないから大丈夫」ではありません。


5. ピロリ菌除菌でポリープが消えることも

過形成性ポリープの多くは、ピロリ菌感染が関与しているため、
ピロリ菌を除菌することでポリープが小さくなる、または消失することもあります。

  • ピロリ菌検査は胃カメラ後に行える
  • 除菌治療は保険適用で可能(胃炎・胃潰瘍が確認された場合)
  • 除菌成功後も、年1回程度の内視鏡フォローが重要

6. 胃カメラでの早期発見・定期フォローが命を守る

胃ポリープががんに進行するかどうかは、見た目だけでは判断できないこともあります。
当院では、最新の内視鏡機器と経験豊富な専門医の技術で、早期発見と精密な判断が可能です。

  • 必要に応じて、組織検査(生検)を行い診断を確定
  • 鎮静剤を使って苦痛の少ない検査が可能

まとめ:胃ポリープは放置せず、正確な診断とフォローを

  • 多くの胃ポリープは良性だが、中にはがん化するものも存在
  • 種類や大きさにより、切除すべきか経過観察か判断が必要
  • 胃カメラでの定期的なチェックと、ピロリ菌対策が予防につながる
  • 少しでも不安があれば、専門医の診察と内視鏡検査をおすすめします

最新の内視鏡機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。
当院には、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。

【作成・監修】
金町よしだクリニック
院長 吉田 翼
(日本消化器内視鏡学会 専門医、日本消化器病学会 専門医、日本肝臓学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医)