【医師監修】高齢者のいびき…年齢と無呼吸のリスクを考える
「年を取ってからいびきがひどくなった気がする」
「高齢の家族のいびきが心配…これって病気?」
いびきは加齢とともに増えることがあり、年齢のせいと見過ごされがちですが、実は重い病気のサインとなることもあります。特に注意したいのが、**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**です。高齢者はいびきに対する自覚が乏しく、日中の眠気や倦怠感などから生活の質が大きく下がってしまうケースも少なくありません。
今回は、高齢者のいびきと無呼吸症候群のリスクについて、医師の視点から詳しく解説します。
1. なぜ高齢になるといびきが増えるのか?
1-1. 筋力の低下で気道が狭くなる
加齢によって全身の筋力が落ちるのと同様に、喉や舌を支える筋肉も衰えます。そのため、睡眠中に舌が気道に落ち込みやすくなり、空気の通り道が狭くなることでいびきが起こります。
1-2. 肥満や生活習慣の影響も
高齢になると代謝が低下し、内臓脂肪が付きやすくなるため、気道の周囲にも脂肪がつきやすくなります。これがいびきや無呼吸の原因となることもあります。
1-3. 睡眠の質が変化する
加齢とともに深い眠り(ノンレム睡眠)が減少し、浅い眠りが増えることでいびきが目立ちやすくなることがあります。
2. 高齢者が注意すべき「いびき」とは?
次のような症状がある場合は、単なるいびきではなく、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため注意が必要です。
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝起きたときに頭痛やだるさがある
- 日中に強い眠気がある、ウトウトする
- 「いびきが途切れて無呼吸になっている」と指摘された
- 夜間に何度もトイレに行く
これらは、高齢者の無呼吸症候群の典型的な兆候です。
3. 睡眠時無呼吸は高血圧や心臓病の原因にも
睡眠中に何度も呼吸が止まることで、体は慢性的な酸素不足にさらされます。その結果、以下のような健康リスクが高まります。
- 高血圧・不整脈
- 脳梗塞・心筋梗塞
- 糖尿病の悪化
- 認知機能の低下
特に高齢者では、無呼吸の影響が顕著に出やすく、命に関わるケースもあるため早期発見が重要です。
4. 高齢者でもできるいびき・無呼吸の検査とは?
当院では、ご高齢の方でも安心して受けられる**自宅でできる簡易検査(ポータブルモニター)**をご用意しています。
使い方は簡単で、指や鼻の先にセンサーをつけて一晩眠るだけ。睡眠中の呼吸状態・いびき・酸素濃度などを正確に測定できます。
その結果をもとに、必要に応じて以下のような治療を行います:
- CPAP(シーパップ)療法:気道を広げて無呼吸を予防
- マウスピース治療(スリープスプリント):下あごを前方に出して気道を確保
- 生活習慣指導:体重・寝姿勢・飲酒・睡眠環境の見直し
すべて、睡眠医療の知識を持った医師が丁寧にサポートいたします。
5. 早期に気づけば生活の質も大きく改善
「年だから仕方ない」と思われがちないびきも、適切に対応することで睡眠の質が劇的に改善することがあります。
また、しっかり眠れるようになることで
- 日中の活動量が増える
- 転倒やケガのリスクが減る
- 認知機能の低下を防ぐ
など、高齢者の健康寿命にも好影響を与えることがわかっています。
6. ご家族が気づいたら、ぜひご相談を
高齢者ご本人は「自分はいびきをかいていない」と感じているケースが多いため、ご家族の気づきが受診のきっかけになることが多いです。
「おじいちゃんのいびきが急にひどくなった」
「最近、昼間によくウトウトしている」
そんな様子があれば、ぜひ一度医師にご相談ください。
当院では、最新の検査機器、無痛内視鏡検査、消化器領域の専門医による丁寧な検査と説明で、安心して受けていただける環境を整えています。
金町駅から徒歩7分とアクセスも良く、葛飾区をはじめ、江戸川区、足立区、台東区、松戸市、市川市、三郷市からも多くの患者様が来院されています。
【作成・監修】
金町よしだクリニック
院長 吉田 翼
(日本消化器内視鏡学会 専門医/日本消化器病学会 専門医/日本肝臓学会 専門医/日本内科学会 総合内科専門医)

