不整脈

不整脈とは、心臓が規則正しいリズムで拍動しなくなる状態を指し、心拍が速くなったり（頻脈）、遅くなったり（徐脈）、あるいはリズムが不規則になったりすることがあります。めまいや動悸、失神、息切れなどの症状がみられることもありますが、無症状で健診などで偶然見つかることもあります。放置すると血栓ができて脳梗塞を引き起こす危険性もあり、早めの評価と対応が必要です。

狭心症

狭心症は、心臓の筋肉（心筋）に酸素と栄養を届ける冠動脈が狭くなることにより、血流が不足して胸の痛みや圧迫感などが生じる疾患です。典型的には、運動時やストレス時に発作的な胸の違和感が数分続いて自然におさまります。安静時に起こるタイプや、症状が進行するタイプもあり、心筋梗塞へ移行するおそれもあるため、早期の診断と治療が重要です。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈が突然詰まり、心筋への血流が途絶えることで心筋が壊死する疾患です。強い胸の痛みや圧迫感、息切れ、吐き気、冷や汗などが典型的な症状で、特に高齢者では症状がはっきりしないこともあります。放置すれば生命にかかわることもあり、発症後すぐの救急対応が非常に重要です。早期の再灌流療法や心臓リハビリも予後に大きく影響します。

心不全

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態を指します。息切れ、むくみ、疲れやすさなどの症状が現れ、進行すると安静時にも苦しさを感じるようになります。急性心不全では突然の呼吸困難や胸部不快感が出現し、救急対応が必要です。慢性心不全では薬物療法と生活指導を通じて、再発予防と日常生活の質の維持が重要となります。

頸動脈プラーク

頸動脈プラークとは、首の動脈（頸動脈）の内側にコレステロールやカルシウムなどが沈着してできたかたまりを指し、動脈硬化の一種です。プラークが大きくなると血流が阻害され、脳へ送られる血液が不足して一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞を引き起こすことがあります。自覚症状がないまま進行することが多いため、超音波検査などでの早期発見と予防が重要です。

弁膜症

弁膜症は、心臓にある4つの弁のうち、いずれかが正常に開閉できなくなることで、血液の流れに異常が生じる疾患です。弁が硬くなって狭くなる「狭窄」や、弁がしっかり閉じなくなる「逆流」が代表的で、動悸、息切れ、めまい、倦怠感などの症状がみられます。進行すると心不全の原因にもなるため、心エコーなどによる正確な評価と定期的なフォローが欠かせません。

大動脈瘤

大動脈瘤は、大動脈の壁の一部がこぶのように膨らんだ状態を指し、動脈硬化や高血圧、喫煙、加齢などが主な原因とされています。初期には自覚症状がないことが多いものの、破裂すると激しい胸や背中の痛み、ショック症状が現れ、命にかかわる危険性があります。CTや超音波での定期的なモニタリングが重要であり、大きさや場所に応じて外科的治療が検討されます。

末梢動脈疾患

末梢動脈疾患は、主に足の動脈が動脈硬化により狭くなったり詰まったりすることで、血流が不足し、歩行時の足の痛みやしびれ、冷感、潰瘍などが現れる疾患です。進行すると安静時にも痛みが出たり、壊疽に至ることもあります。糖尿病や高血圧、喫煙などがリスク因子とされ、血管脈波検査などによる早期診断と、運動療法・薬物療法による管理が大切です。