脂肪肝

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積された状態で、暴飲暴食や運動不足、肥満、糖尿病などが関与していることが多くあります。自覚症状がないまま進行することがほとんどですが、放置しておくと肝臓に慢性的な負担がかかり、やがて炎症や線維化を引き起こす可能性があります。進行すれば肝硬変や肝がんへとつながることもあり、定期的な検査と生活習慣の改善が重要です。

急性肝炎

急性肝炎は、肝臓に急激な炎症が起こる疾患で、主にA型、B型、C型肝炎ウイルスなどの感染が原因となります。発熱や倦怠感、黄疸、吐き気、食欲不振などの症状が突然現れることが特徴です。軽症であれば自然に回復することもありますが、重症化すると劇症肝炎へ進行することがあるため注意が必要です。ウイルスの種類によって治療法が異なるため、正確な診断が不可欠です。

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで生じる肝臓の感染症です。一過性感染で自然に治癒することもありますが、慢性化した場合は長期的にウイルスが体内に残り、肝硬変や肝がんのリスクが高まります。母子感染や血液・体液を介した感染経路があり、感染予防のためにはワクチン接種も有効です。慢性B型肝炎の管理には、継続的な診療と薬物療法が重要です。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで起こる肝疾患で、多くの場合は慢性化し、数年から数十年かけて肝硬変や肝がんに進行するおそれがあります。以前は治療が難しい疾患とされていましたが、現在は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によって、多くの患者さまがウイルスを排除できるようになっています。定期的な肝機能検査と画像検査での経過観察が欠かせません。

アルコール性肝炎

アルコール性肝炎は、長期間にわたって多量の飲酒を続けることで肝臓に炎症が起こる疾患です。初期には腹部の違和感や倦怠感、食欲不振といった症状が現れ、進行すると黄疸や腹水、意識障害を伴う重篤な肝不全に至ることもあります。肝機能に異常がある場合、禁酒が何よりも大切です。飲酒習慣のあるかたは、定期的な血液検査や腹部エコーでのチェックをおすすめします。

非アルコール性脂肪肝炎

非アルコール性脂肪肝炎（MASH：旧NAFLD/NASH）は、飲酒とは無関係に発症する肝臓の炎症性疾患で、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病との関連が強いとされています。肝臓に脂肪がたまり、それに伴って炎症や線維化が進行することで、やがて肝硬変や肝がんに至ることもあります。早期段階での介入が不可欠であり、食事療法や運動療法を中心とした生活習慣の見直しが治療の基本となります。

肝硬変

肝硬変とは、肝臓の細胞が慢性的な炎症や障害によって破壊され、線維化が進んで硬く変化してしまう疾患です。原因はウイルス性肝炎やアルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎などさまざまです。進行すると肝臓の機能が低下し、黄疸や腹水、意識障害、出血傾向などの症状が現れます。肝がんの発生リスクも高いため、定期的な検査と適切な内科的管理が必要です。

肝がん

肝がんは、肝臓に発生する悪性腫瘍であり、多くは肝細胞がんとして知られています。慢性B型・C型肝炎や肝硬変が大きなリスク因子とされており、これらの疾患を持つかたは注意が必要です。初期には症状がほとんどなく、進行すると体重減少や右上腹部の痛み、黄疸などが現れます。早期発見には定期的な超音波検査や腫瘍マーカーの測定が有効であり、適切な治療選択が求められます。

胆のうがん

胆のうがんは、胆のうに発生する悪性腫瘍で、進行するまで自覚症状が現れにくいため、早期発見が難しい疾患とされています。胆石症や慢性的な胆のう炎との関連が示唆されており、これらの既往があるかたは特に注意が必要です。進行すると右上腹部の痛みや黄疸、食欲低下などが出現することがあります。超音波検査やCT、MRIによる画像診断が早期発見の鍵となります。

胆管がん

胆管がんは、肝臓から十二指腸に至る胆汁の通り道である胆管に発生する悪性腫瘍です。初期にはほとんど症状がありませんが、胆管の狭窄や閉塞が進行すると、黄疸、腹部の痛み、発熱、体重減少などが現れます。発見が遅れがちな疾患であるため、慢性的な胆道疾患があるかたは注意が必要です。画像検査や内視鏡的手法を用いた早期発見と、専門的な治療が求められます。